コバナシメモート

小話を書いていたが最近は愚痴しか書かなくなったBlog

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

春花

「え~去年も無事に黒字成績となり、とても嬉しい限りでありますが…」
会社で恒例の花見大会も架橋になり、最後の社長の〆のスピーチがおこなわれていた。
例年よりかなり寒いためほとんどの社員は酒を飲んで、寒さから耐えるような花見であったのでスピーチのため立ち上がった社長はもう足元もおぼつかない。

だけどそんな事よりも俺は社長の近くにいる新入社員の一人に目をとられていた。
花見が始まってからも花を見るフリをして彼女をちょっとみて酒を飲む。理由は明確ではないけれど気になって仕方がなかった。

長いスピーチも酔った部長のツッコミにより中断しお開きとなり、上層部のお偉いさん達は二次会へ向かった。
とりあえず片づけが終わったら合流する予定になっているのだが、
なんで俺一人で片付けなければならないんだと社会の厳しさを痛感していた。

飲みほしてつぶれた缶ビール、食べかけの柿ピー、飲みかけのお酒に浮いた桜の花びら。
あっそうだ花見だったんだな、と空を見上げるといつの間にか雲がかかってそして雨が降ってきた。

ゴミを捨てあとは大きなレジャーシートを畳むだけ。
そう思った時俺の頭上に傘が現れた。

「おつかれさまです」
傘を持っていたのはあの彼女。

「雨が降ってきたのにまだ残ってらっしゃると聞いたので」
驚いた表情をしていたのか彼女は俺にここに来た説明をした。

最後のレジャーシートを畳みながら俺は彼女に礼を告げる。
その言葉は自分でもわかるぐらい改まった言い方だった。

荷物をバッグに詰め彼女の持つ傘に入り歩き出す。
人は沢山いるのに傘に当たる雨音だけが俺の耳には響いてくる。
彼女の体が濡れないように自分の肩を濡らして歩いたが、彼女はそんなことも気にせず、自分の肩を濡らし、雨と一緒に桜の花びら。

ふと見上げるとビニール傘にも沢山の桜の花びら。
彼女との出会いはそんな春らしい日であった。
スポンサーサイト

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。